農業と植物科学

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2/24 パパイヤとウイルス

知ろう!バイオテクノロジーと作物について

バイオテクノロジーを用いてつくられた作物を知ることで、知識の幅を広げようのコーナー。

パパイヤ:パパイヤ科パパイヤ属の常緑植物である。

 目的:重要病害であるパパイヤリングスポットウイルス(PRSV)からパパイヤを守るため、ウイルス抵抗パパイヤの育成が行われた。

どういうの?:ウイルスの外皮タンパク(CP)遺伝子をパパイヤに導入しウイルス抵抗性パパイヤを作製した。導入した外皮タンパクCP遺伝子発現がRNAiにより抑制され、ウイルスの外皮形成が阻害されるためである。

作り方(大雑把に)

弱毒化させたPRSVからPRSV CP遺伝子を単離と配列確認

植物発現用ベクターに入れる

パーティクルガンでパパイヤのカルスに遺伝子を導入する

 植物内ではベクターのT-DNA領域がゲノムに挿入される

カナマイシンを使って選抜

カルスを成体にする

安全検査 等々

詳しい手法についてはこの論文(Use of RNAi technology to develop a PRSV-resistant transgenic papaya)が参考になると思うので読んでみてください。

検査:ウイルス抵抗性パパイヤの食品健康評価表についてhttp://www.fsc.go.jp/hyouka/hy/hy-tuuchi-papaya_55-1.pdfhttps://www.fsc.go.jp/sonota/kikansi/21gou/21gou_2.pdfを読むことをお勧めします。

感想:パパイヤはあまり食べたことがない。この間、フィリピンで美白になると有名なパパイヤ石鹸を買いました。

 

ニュースパパイヤ

パパイヤ生産:パパイヤの生産国はTOP5 (2008年 FAOデーターより)

1.インド、2.ブラジル、3.ナイジェリア、4.インドネシア、5.メキシコ

日本での栽培(2008年)

1.沖縄、2.鹿児島、3.宮崎

パパイヤ:ヨーロッパのパパイヤ市場が拡大

ヨーロッパのパパイヤ輸入量が2015-2016年で4万トンになり、2017年では4.3万トンで1億300万ユーロに達した。北西ヨーロッパでは小さいサイズの果物を好む傾向があるため最大700gのthe Sunrise や Golden Soloが人気である。ヨーロッパでの主要な輸入国はドイツとオランダがである。オランダでは輸入したパパイヤの70%を再輸出している。しかし、ヨーロッパの東側での消費量は低い。今後は傷みやすいパパイヤの貯蔵時間を長くするため技術を開発する必要がある。

Papaya market is growing in Europe

 

補足

知ってた?植物ウイルス

 ①ウイルスに感染するウイルスとは?

サテライトウイルスとサテライト核酸

1. サテライトウイルス

サテライトウイルは自身の外皮タンパク質遺伝子をもっているが、複製酵素や移行タンパク質は宿主ウイルスのものを借りる。

2. サテライト核酸

サテライト核酸にはDNAとRNAのものがある。24種類の植物ウイルスで確認されている。キュウリモザイクウイルス(CMV)では自身のゲノム以外に寄生しているサテライトRNAが存在していることがある。そのRNAは330~440塩基と短くタンパク質をコードしていない(大型サテライトRNAは何らかのタンパク質をコードしている)。ただ、サテライトRNAはCMVの複製酵素を借りて増え、CMVとともに移動する。また、善玉サテライトと悪玉サテライトがある。善玉では植物の病状が改善されることもあるが、悪玉では病状が悪化することも。

https://www.gene.affrc.go.jp/pdf/manual/micro-31.pdf

RESEARCH:ウイルスに寄生する「小さな核酸」増田 税 | 季刊「生命誌」 | JT生命誌研究館

 

知ってた?オランダ

①オランダで再輸出が行われる?

オランダは地理的にヨーロッパの中心に位置し、インフラも整備されており各国の都市への交通の便が良いため輸出に優位性がある。また、ロッテルダム港などにより海外からのアクセスも優れているため、輸入した農産物の再輸出(中継貿易)が盛んである。

https://www.maff.go.jp/j/kokusai/kokusei/kaigai_nogyo/k_syokuryo/attach/pdf/itaku29-10.pdf